距離適性と追走スピード

[元の投稿時間] 2011-11-10 16:15:40

 「距離適性」という概念を簡単に捉えてみよう、というのがこの記事の趣旨。上手くまとまるとは思えませんが、この記事を読んで「あ、このレースは中距離でもマイルのスピードを問われた」と分かるようになればサイコーです。


---------- まえおき -----------

 競走馬は常にスタミナを消費しながら走っています(オークスの距離適性についてより)。同じレースの近い位置取りで走っても、Aという馬は100%のスピードで走り、Bという馬は120%のスピードで走り、はたまたCという馬は100%のスピードに20%のブレーキを掛けた80%で走っているかもしれません。

 Aは適距離の馬、Bは距離不足の馬、Cは距離が長いか掛かっている馬の簡単な例えです。「距離適性」とは、ざっくり言えば「その馬のスピードレンジがどの距離に最適化されているか」になります。

 2つの相反するレースをもとに見ていくことにします。以下のグラフと見比べると分かりやすいかと。

あみーケイバ-1furlong


------- 適距離が短い馬が走るレース --------

オパールS(リンク先:Yahoo!スポーツ)
レースラップ(公式) : 12.1-10.6-10.8 10.9-10.9-11.8


 公式タイムが正確かどうかはさておき、このレースの1・2着は今年のアイビスSD3・2着馬でした。3着馬も直千に抜群の適性を示すサクラバクシンオー産駒と、まるで1000m戦のような決着になりました。

 レースラップを見てみましょう。開幕週の超高速馬場で行われたこともあってか、10秒台のラップが計4つ、その平均は10.8秒です。1200mのレコード決着の平均ラップが11.08秒であることを考えると、普段1200mを走っている馬にとっては明らかにスピード過多、始めの例で言えばBの距離不足の馬にあたります。普段1200mを走っていて、1200mが距離不足とはこれいかに?

 一方、直千で好走できるスピード(≦10.74秒)を持つ馬は、平均10.8秒のラップならほとんどスピードを殺すこともブレーキを掛けることもない理想的な追走が可能です。
 仮に平均的な1200m戦であれば、自身のスピードにブレーキを掛けながら走ることになり、そのスピードを生かせないばかりかスタミナを浪費する危険性まであります。「スローだから楽に追走できている」ではなく、「スローゆえにスピードを殺している可能性がある」のです。

 このように、額面のタイムが早いことでより短い距離で好走できる馬が楽に追走でき、普段その距離を走る馬は暴走ペースになることがあります。これは距離に加えて追走スピード・額面のタイムが「距離適性」に影響を与えることを示しています。

 「その馬のスピードレンジがどの距離に最適化されているか」

 の結論に近づけたでしょうか?次は逆の例を見てみます。



------- 適距離が長い馬が走るレース --------

京洛S(リンク先:Yahoo!スポーツ)
レースラップ(公式) : 12.3-11.1-11.2 11.4-11.0-11.0 稍重

 こちらは先日の京洛S。公式ラップが正確だと仮定すれば、2F目~4F目の平均11.23秒は1200mで好走できるスピード(≦11.08秒)よりも遅く、普段1200mで好走する馬にとってはスピードをやや殺している状態と推定できます。

 また、1200m向きの馬はテンのダッシュ力・スピードで押し切る能力に優れる=偏るタイプが多いため、単純な上がりの瞬発力・キレでは1400mや1600mを得意とする馬に劣る場合があります。

 以上の2つを総合すると、ここで好走した馬は11.23秒でもスピードを殺さずに追走でき、上がりの瞬発力・キレを備えている馬ということになります。距離別1ハロン平均タイムのグラフで見ると1400mが11.3秒(正確には11.29秒)で、このレースで理想的な追走ができる馬は1200mよりも1400m向きであることが分かります。


---------- あとがき -----------

 以前書いた直千についてでは、新潟芝1000mと中山芝1200mの関連性がよく分からず終いでした。この記事の考え方を適用すれば、中山芝1200mは下り傾斜が急で額面のスピードが出やすい=短い距離を好走できる追走スピードが求められるため、だと結論付けられそうです。(2011/11/10)

著者:あみー

4~5歳牡馬相当。軽い芝の長距離◎?(重い芝・中距離△? 中長距離▲?) 荒れ馬場・道悪△? ゲート:△? 先行力:F? 底力:E? キレ:F-? 持続力:D-?(甘め) 平坦○、急坂△。逃げ○、逃げ以外△