距離適性の問われ方・上

[元の投稿時間] 2012-10-31 23:13:36
 「距離適性の問われ方」について、競馬場の形態やラップタイムから迫ってみよう、というのがこの記事の趣旨。今週から福島開催が始まるので、千八巧者が好走する福島芝2000mなどをヒントに考えていきたいと思います。


距離適性の意味、判断の仕方

 競走馬の距離適性というのは「どの距離が得意か」という意味と同時に、「その馬のスピードレンジがどの距離に最適化されているか」を示します。
 それがはっきり出るのが芝1200m戦で、「額面やテンのスピードを問われる」条件では適距離の短い馬が走りやすく、「額面やテンのスピードを問われず、上がりの持続力を問われる」条件では適距離の長い馬が走りやすくなります。(詳細:距離適性と追走スピード

 その他の距離では芝1200mの例と同じように、テン+中盤(≒レース前半。1200m戦でのテン)を速く走れる=距離短縮への適性あり、中盤+上がり(≒レース後半。1200m戦での上がり)を速く走れる=距離延長への適性ありと判断することができます。
参考:「人生が変わる競馬 ~ダート中距離があれば永遠に飯が食える~ 」半笑い 白夜書房 p38 図「ラップから、活躍の場が見えてくる」

 では、中盤がある距離でも、テンのみ、上がりのみで当該距離以外への適性を計れる場合はないのでしょうか? ここで冒頭で挙げた福島芝2000mについて見ていきます。


テンで下り坂が続く福島芝2000m

 福島競馬場(JRA | 福島競馬場 コース図)は1周の距離が1600m+αで、芝2000mの発走地点は芝コース高低断面図(右回り)で言うと残り400m付近から。
 テン3Fは発走直後の1Fが下り坂で、一旦上るも1・2角の中間にかけて再度下るというコース形状。小回り≒逃げ・先行有利の意識も相まって先手争いが激しくなりやすく、コース形状がテンのスピードを引き出しやすい条件になっていることが分かります。

 ラップタイムの平均を単純比較しても他の多くの競馬場よりテン3Fの平均が早いことが分かり、福島芝2000mが「額面やテンのスピードを問いやすい条件」ということを確認できます。

【 比較:500万下・芝2000mのラップタイム 】
福島 35.4-49.4-35.8 =2'00"6(2009~10、計26レース)

東京 36.6-49.9-34.6 =2'01"1(2009~11、3歳含、超絶スロー除く、計11レース)
中山 36.2-49.4-35.7 =2'01"3(2010~11、3歳含、計12レース)
京都 36.3-49.6-35.0 =2'00"9(2009~11、3歳含、計14レース)
阪神 36.7-49.8-35.4 =2'01"9(2009~11、計11レース)

札幌 36.1-50.1-35.8 =2'02"0(2010~12、計15レース)
函館 35.7-50.4-36.5 =2'02"6(2010~11、計10レース)
新潟 36.4-49.9-34.5 =2'00"7(2009~11、外回り、計24レース)
中京 レース不足
小倉 35.4-49.5-35.4 =2'00"2(2010~11、計29レース)

 中盤4Fについて見てみます。コース形状はほぼずっと上りで、コース形状がスピードを出しやすくするとは考えづらいです。ラップタイムを比較しても、他場と大きな差はありません。
 福島芝2000mのテンは速くなりやすいも、中盤はそうではない。このことから、福島芝2000mで千八巧者・適距離の短い馬が好走しやすい理由をテン+中盤に求めるのは難しく、テンにのみ理由を求めた方が良い条件とは言えないでしょうか? 中盤がある距離でも、テンのみ、上がりのみで当該距離以外への適性を計れる条件があると言えそうです。

 さて。テンのみ、上がりのみで当該距離以外への適性を計れる条件がある、と仮定できたところで、以下では過去の活躍馬の好走歴を参考に、適距離の短い馬が走りやすい条件(≒テンが速くなりやすい条件)、適距離の長い馬が走りやすい条件(≒上がりが速くなりやすい条件)について見ていくことにします。

距離適性の問われ方・下(適距離の長い馬が走りやすい条件、両方の要素を持つ条件)


適距離の短い馬が走りやすい条件

「額面やテン(+中盤)のスピードを問われること」が条件になり、
  ・ テン(+中盤)に下り坂が続くコース形状
  ・ 早い時計が出る馬場状態(開幕週、野芝のみetc.)
  ・ 早いペースに慣れている馬が多いレース
   (≒前走で今回よりも短い距離を使っていた馬が多いレース)
  ・ ハイペースや先手争いが激しくなる展開・レース
などが当てはまります。

(●) 該当するコース・距離

 中山芝1600m … 1・2角の丘から下り降りるコースで、芝1400mをこなせるタイプが好走しやすい。時計レベルが早ければ尚更。

 函館ダ1700m … 発走から2角後半まで下り坂が続き、中盤以降はずっと上り→終いに少し下ってゴールまでは短い直線のため後続が差を詰め難く、行ききった短距離タイプが好走しやすい

 福島芝2000m … テンで2度下るため、テンのスピードを問われやすい。芝1800m好走馬やマイルで距離延長への適性を示している馬が人気の盲点。芝2000m実績馬にはテンが忙しく、好走しづらい。面白いのは、スタミナに余裕のある芝2200m実績馬が相対的に浮上できること。

(○) 該当しやすい重賞

 日経新春杯 … ハンデ戦のためか、先手争いが激しくなりやすい。同じコースの京都大賞典よりもテン3Fの平均が早く、長距離向きの先行馬は息切れしやすい。中距離をこなせる差し馬有利。

 東京新聞杯 … 開幕から間もない週に行われるため馬場の傷みが少なく、時計の早い状態で行われやすい。中山芝1600mで好走するような千四巧者がスピードを生かして粘りこむ場合も。

 アーリントンC … 短~マイル路線で選択を悩んでいる馬が出走するためか、テン・中盤が緩まず、芝1400m寄りのレースになりやすい。

 3歳限定の中長距離重賞 … 早いペースに慣れている馬同士のレース。当該距離を経験している馬は少数派(または不在)で、テンがマイル~中距離寄りのペースになりやすい。古馬になると中長距離で好走できない馬が好走する場合も。

 京成杯AH … 開幕週+野芝のみ、ハンデ戦という条件が揃い、スピード勝負に極めてなりやすい条件。

 スプリンターズS … テンが急な下り坂+先行馬が揃いやすいので、テンが早くなりやすく、スピードを問われやすい。アイビスSD好走馬がスピードを生かして好走する場合あり。

距離適性の問われ方・下(適距離の長い馬が走りやすい条件、両方の要素を持つ条件)へ続く。

著者:あみー

4~5歳牡馬相当。軽い芝の長距離◎?(重い芝・中距離△? 中長距離▲?) 荒れ馬場・道悪△? ゲート:△? 先行力:F? 底力:E? キレ:F-? 持続力:D-?(甘め) 平坦○、急坂△。逃げ○、逃げ以外△