各距離について・雑感

[元の投稿時間] 2012-01-01 23:11:59

 各距離ごとの特徴を再確認しよう、というのがこの記事の趣旨。各距離の解説は施行重賞の数におよそ比例していますので、その点はご了承下さい。

 以下の2つのグラフはJRAが発表している中央競馬レコードタイム(芝)から重賞の施行距離に限って抜粋し、平均時速と1ハロンの平均タイムを求めたものです。

あみーケイバ-平均時速(折れ線ver2)  あみーケイバ-1furlong

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芝1000m  ・ 芝1200m、起伏、コーナー半径、芝質、高松宮記念展望
芝1400m  ・ 芝1600m
芝1800m  ・ 芝2000m
芝2200m  ・ 芝2400m ・ 芝2500m
芝3000m  ・ 芝3200m ・ 芝3400m・芝3600m


(●)芝1000m -----------

 新潟芝1000m(直千)に限って考えると、純粋なスピード・スピード持続力勝負。額面のスピードとそれをどれだけ維持できるかの勝負で、額面のスピードが出やすい下り坂コースの中山芝1200mや小倉芝1200mと好走馬が重なることも。この2コースの開幕週や時計の早い馬場で好パフォーマンスを見せた馬は直千での活躍を期待できます。特に終いの急坂がスピードの持続力を問う中山芝1200mで早い上がりを使えた馬、終いまでスピードを持続できた馬は例年のアイビスSDで好走しています。


(○)芝1200m -----------

 基本的には発走直後のスピードをいかに維持できるかが肝。ただし、コースの起伏、コーナーの半径、芝質によって必要スピードやその出し方に微妙な差が出るため、どのコースでも強いスプリンターは極めて稀です。

 コースの起伏は必要スピードに影響し、上り坂=減少、下り坂=増加。ゴール直前に上り坂が控えるコースは、発走直後に上り坂があるコースよりも格段に底力(=ハイペース耐性・失速耐性)を問われることになります。これはスプリンターが「テンのダッシュ力とそれを維持する能力」で優劣が付けられているためで、どの馬も苦しくなる終いほど上り坂の負荷が強くなることを示します。
 発走直後に上り坂がある(例:京都芝1200m)と必要なスピードが下がり、後傾のレースになることも。この場合、好走しやすいのは準スプリンターの差し馬で、逃げ・先行馬は持ち味を生かし難くなります。

 コーナーの半径は半径が小さいほど内外の差が明確になります。これはトップスピードに近いスピードで走り続ける距離だからこそで、コーナー半径の小さい新潟の短距離+外を回って末脚の伸ばす馬は相当のスピード持続力を示したと言えるでしょう。

 芝質は必要スピードの違いに現れます。スピードとパワーの比率を単純に例えれば、野芝=10:0、野芝+洋芝=8:2、洋芝=7:3と言ったところ。野芝だけの競馬場をレコードで圧勝した馬は、もしかしたらスピードに特化し過ぎてパワーが不足するかもしれません。その類推には走破時計を血統と合わせて考える事が有効です。サクラバクシンオー産駒で持ち時計のある馬は野芝のみのレース向き、Danzig系の馬で野芝でそこそこの持ち時計がある馬は洋芝でもその持ち時計に近いタイムで走れる…などのように。

 スプリンターズSが行われる中山芝1200mは、急な下り→(平坦の3・4角)→上り(急坂)。発走直後の急な下り坂がスピードの絶対値を、終いの急坂が底力(=ハイペース耐性・失速耐性)を問うチャンピオンスプリンターを選ぶのに相応しいコース。コーナーもやや小回りで、差し・追い込み馬=先行力・スプリント能力に劣る馬が台頭する余地を奪います。

 高松宮記念が行われる新・中京芝1200mは、緩い上り→緩やかで長い下り→スパイラルカーブ→直線を向くとすぐに急坂→緩い上り+やや長い直線(全長は京都外回り+8.5m)。
 やや緩い上りで先手争いをしている内に下り坂に進入、下り坂が直線まで続く+スパイラルカーブでスピードを落とせる箇所がありません。トップスピードに近い速度のままで直線を向くと急坂の負荷が直撃。それを上りきっても緩い上りと直線が続く…。損傷し難い芝を使っているらしいですが、最終週で多少なりとも芝が荒れてきているはず。そうなると末脚の持続力に優れる差し・追い込み馬が台頭するレースになるのでは?サンカルロのためにあるようなコースに思えてきましたw
 3角から直線だけ抜き出せば、京都ではトップスピードが不足するジリ脚の馬が3角前からの下りで勢いを付け、直線の坂で失速する他馬を交わすことが可能かも。


(●)芝1400m -----------

 非根幹距離。1200mに比べて必要スピードが下がりますが、より多くのスピード持続力を求められます。このため、1200mで先行して実績を残している馬はよほど高いスピード持続力を見せていないと、距離延長に対応できません。1200mではやや詰めの甘さを見せていたり、緩い流れの1200mで好走している差し馬の方が1400mへの距離延長では信頼できます。

 マイルとの比較ではマイル戦よりもスピードを求められ、さらに根幹距離と非根幹距離の違いから、瞬発力の重要度が大きく下がります。緩急のある流れで切れる脚を使うタイプのマイラーは能力を生かせないままレースが終わることが良くあります。このような状況から、スピード持続力に優れるタイプが1400mや1800mでマイラーを下し、千四・千八巧者と呼ばれるようになったのでは?


(○)芝1600m -----------

 根幹距離。2000mや2400mと同じく平→遅→早の流れになりやすく、アグネスタキオン産駒のような瞬発力に優れる馬が好走しやすくなります。非根幹距離の1400mや1800mを得意とする馬は緩急のある流れで持ち味のスピード持続力を殺され、詰めの甘い成績に終わることも。

 ペースが厳しくなるG1では中盤に加えテンまで厳しくなる場合があり、緩急の流れに強い瞬発力タイプは終いのキレを引き出せなくなってしまいます。底力(=ハイペース耐性)に優れるブライアンズタイム系(Roberto系)の馬が安田記念で凄みを見せるのはこのためでは?
 マイルCSは中盤に淀の坂があることから、コース形状が緩急のある流れを演出します。ただし、淀の下り坂がエンジンの掛かりの遅さを補い、上がり4Fの持続力があれば瞬発力に劣る馬でも好走する場合があります。


(●)芝1800m -----------

 非根幹距離。スピード持続力の高さが要求されやすい距離で、マイルや2000mではキレ不足から詰めの甘さを見せるもスピード持続力に優れるタイプが巻き返してきます。例えばスーパーホーネットが典型的な千四・千八巧者でした。血統で言えば、ダンスインザダーク産駒やチーフベアハート産駒など、長距離実績のある種牡馬の産駒がスピード持続力を生かして好走するのもこの距離の特徴です。一般的な千四巧者の距離適性の上限。


(○)芝2000m -----------

 根幹距離。瞬発力を要求される中盤の緩みが起きやすい距離です。一般的なマイラーや小回り芝2000mなら千四・千八巧者の距離適性の上限で、スピードの重要度が高い距離の上限でもあります。競馬場ごとに・同じ競馬場でも開催時期によって問われる能力が変わる、ややっこしい距離とも。

 例えば…

 東京芝2000m(天皇賞(秋))=スピード、底力(=ハイペース耐性)、キレの総合力勝負
 中山芝2000m(皐月賞)=ハイレベルの底力、持続力勝負
 京都芝2000m(秋華賞)=マイラーレベルのスピードor中長距離向きの持続力勝負
 阪神芝2000m(大阪杯)=底力、持続力勝負
    〃    (朝日CC)=マイラーレベルのスピード勝負
 新潟芝2000m(新潟大賞典)=マイラーレベルの切れ味勝負
    〃    (新潟記念)=中長距離馬の持続力勝負、天皇賞(春)を勝った馬が善戦していた例も
 小倉芝2000m(小倉記念)=中長距離向きの持続力勝負、非根幹距離のような能力を問われる
 福島芝2000m(福島記念)=テンに下り坂が2回あり、スピードで優位に立つ千八巧者が後方一気を決める場合も
 函館芝2000m(函館記念)=底力・スタミナ偏重の持続力勝負

 阪神芝2000mの例を見ると、皐月賞らしからぬ流れを優勝したキャプテントゥーレが朝日CCで好走し、大阪杯で苦戦した理由がはっきりします。


(●)芝2200m -----------

 非根幹距離。スピード持続力に優れる馬が走りやすいロングスパートの流れになりやすく、根幹距離でキレ不足を見せていた馬が一変する場合も。スタミナの重要度が高まり始める距離でもあり、一変の一因となっている印象。切れ味タイプや差し馬のマイラーは距離に対応できません。

 エリザベス女王杯(京都芝2200m)ではマイルでキレを発揮する牝馬が多く参戦し、それが人気寄りの場合には波乱が起きるケースも。淀みない流れの1800mに向く先行馬はこのレースに限り距離をこなしてきます。

 宝塚記念(阪神芝2200m)は皐月賞の古馬Ver.といっても。有馬記念で求められるロングスパート能力に近いものを求められるので、末脚の持続力を見せて制覇した馬はグランプリ連覇の可能性が高いと言えます。ただ、近年の有馬記念は良好な馬場で行われることが多く、梅雨時の雨の影響がある馬場で宝塚記念を勝った馬はスピードの裏付けがあるかどうかに注意が必要です。


(○)芝2400m -----------

 根幹距離。スタミナの重要度がさらに増し、この距離を勝てる・勝ちに等しい内容で走れるマイラーは超一流のスピード持続力を持っていると言えます。近年ではウオッカ、かつてはオグリキャップがそれに当たるでしょう。

 根幹距離だけにロングスパートになることはやや珍しく、特に東京芝2400mではトップスピードの高さ・キレが必要。長い下り坂からフォルスストレートを通り直線を迎える、ロンシャン芝2400mで強さを発揮した馬では末脚の持続力に特化しすぎ、キレ不足を見せがちです。いずれも水分の多い馬場だった10'宝塚記念と10'凱旋門賞で好走したナカヤマフェスタもそのタイプになります。


(●)芝2500m -----------

 非根幹距離。中距離馬が末脚のキレで善戦できる距離上限。この距離になると一段とスタミナの重要度が高まり、レコードタイムから平均時速を求めても2400mからガクッと平均時速が落ちている≒スタミナの要求度が高まっていることが確認できます。

 スピードの重要度が下がるだけに、ガチガチのスタミナ血統でない馬がアルゼンチン共和国杯を好タイムで優勝=スピード持続力や底力(=ハイペース耐性)の高さの証明になり、G1での活躍に期待ができます(スクリーンヒーロー、トーセンジョーダン)。

 有馬記念はコースの起伏から上がり5~6Fの競馬になりやすく、えげつないレベルの末脚の持続力を求められます。2010年・2011年は例外的なスローでしたが、以前のような流れになればエアシェイディ(08'10人気3着、09'11人気3着)のようなリピーターが出てくる可能性も十分。


(●)芝3000m -----------

 非根幹距離。超長距離という名の通り、スタミナの重要度が高くなってきます。道中での緩みが大きくなるのも長距離らしい特徴で、スピードが殺されやすくなります。万葉Sや菊花賞では中距離馬が善戦することも可能ですが、阪神大賞典ともなると中距離馬の好走は望めません。


(○)芝3200m -----------

 根幹距離。天皇賞(春)のみが実施される距離で、ある程度のスピードと高いレベルのスタミナを併せ持つ馬が好走しています。軽い芝質、要求されるスタミナの多さからしなやかな筋肉をまとった馬が好走しやすく、馬格がありすぎる馬≒馬体重の重過ぎる馬は苦戦する傾向があります。


(●)芝3400m・芝3600m -----------

 ここまで来ると根幹距離、非根幹距離の違いはありません。ロングスパートになりやすいので、2周目の3・4角で最内を確保できる馬が相対的に有利なのは共通。起伏の大きさから、ステイヤーズSは極端にスタミナ偏重の結果になることも。2400mの重賞ではスピード不足で着順を落としていたり、ようやっと2400mの条件戦で勝ちあがったような馬からスタミナ偏重の馬を探してみると妙味を追える年も。


--------- あとがき ----------

 う~む、お正月のゆるーくなった頭で書いているので、思い出せていないことが沢山あるような…(´・ω・`)
 「○○はどーなの?」のような頭を引き締めるコメント大歓迎です。(2012/01/01 23:11)

著者:あみー

4~5歳牡馬相当。軽い芝の長距離◎?(重い芝・中距離△? 中長距離▲?) 荒れ馬場・道悪△? ゲート:△? 先行力:F? 底力:E? キレ:F-? 持続力:D-?(甘め) 平坦○、急坂△。逃げ○、逃げ以外△