馬の個性を理解する事とは...

2015年の天皇賞(春)はゴールドシップが三度目の正直が叶い優勝した訳だが、これは鞍上の横山典弘の『馬に対する深い理解』が実にモノを言ったレースだった。

ゴールドシップの特徴というのはこんな感じである。

①常にトップギアによる走りになる為にガツンと加速が出来ない→
スタート時はどうしても加速効率が悪いので馬群後方に置かれてしまう。

②厳しい状況下になると頑張る気持ちが強いが、余裕が出来ると気を抜いてしまう。

③体力が異常なほど豊富(笑)。

まずはスタート、案の定①の欠点からスタートは予定通り後方に置かれる羽目になるのだが、横山は慌てず騒がず、『それはこの馬の個性』として受け入れ、スピードに乗って来た2コーナー過ぎから、馬の走りのリズムだけでポジションを押し上げている。
馬の走りのリズムを尊重してもらっているので、ゲート入りをあれだけゴネていたゴールドシップは(笑)、ストレスを受ける事無く実に良い気分に浸りながらホームストレッチを通過していったのである。

1-2コーナーを過ぎると、ゴールドシップの苦手なバックストレッチに入る。
②をもうちょっと噛み砕いて説明すると...
これは人間でも有りがちな事で、仕事が忙しいとバリバリ働くが、暇になると作業を止めて無駄話をしてしまう...こういう類いの話であると理解して貰いたい。

京都外回りコースは、阪神内回りコースとは違いバックストレッチが長い。1-2コーナーからバックストレッチに掛けては、レースが落ち着き『中弛み』という現象が起きるのだが、特にバックストレッチが長くなると、中弛みの時間が長くなり、どうしてもゴールドシップは退屈していまうのだ。
よって②の欠点を露呈する事になりレースを投げてしまう。
鞍上が岩田なら、ゴールドシップのレースはここで終わるのだが(笑)、やっぱり横山はやる事がひと味違っていた。
横山は手綱を目一杯にしごいてゴールドシップを叱咤激励したのである。まあ、要は上司が『手休めないで仕事しろ!』って言っているようなものである。
ただ、これはあくまで③の長所の裏付けがあるから出来る事であり、並の体力の持ち主ならここで体力を消耗してしまい、最後は馬群に沈む事になる。
この退屈になるタイミングに気を抜かずに走ってくれれば、3コーナー坂頂上からは攻防が激しくなるので、②の『厳しい状況下になると頑張る気持ちが強い』という長所が発揮され、黙ってても集中力全開でレースをしてくれるのだ。

横山典弘は決して型にはめる事なく、あくまで馬の個性に合わせるレースに拘っていた事がお解りいただけたと思う。

おそらく今年のベストレースだと思う。
馬券は予想を御覧にいただけば解る通り、複勝のみの的中となり嬉しさ半減となったが、素晴らしいレースが見る事が出来て感動を覚えた。ゴールドシップと横山典弘に素直に拍手を送りたい。


著者:夏影
 予想のベースになっているのは、今井雅宏氏考案の『Mの法則』。2002年の菊花賞。ヒシミラクル→ファストタテヤマの馬単を2点予想でゲット。 トライアルのレース振りから、ヒシミラクルは『淀の3000㍍で化ける』と確信しておりました。